ニュースから。
社団法人「ひきこもり支援相談士認定協議会」の大分支部設立集会が25日、大分市であった。 (中略) 約6カ月の通信教育で相談士資格を認定し、全国約3000人が認定を受けた。
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引きこもりは難しい問題ですし、心理面のみならず身体的、社会的な問題も含みます。
そのため様々な機関が連携する必要があり、問題意識を持つ人が増えることは好ましく思います。
ただちょっと気になったのが資格認定のこと。
たった半年で、しかも通信教育。
ホームページを確認しましたが、本当に通信教育のみの教育しかなく、あとはレポート提出で合否判定だそうです。
引きこもりの問題に取り組もうという理念は素晴らしいですが、下手すると資格商法ではないかとの疑問も出てきます。
(まあどんな団体でも理念だけなら素晴らしいものですが)
この手の資格って安易にカウンセラーを名乗りたい人には都合が良いんですよね。
この資格を取って、さも専門家のように振舞って名刺やホームページに書く人も表れてくるでしょうし。
そしてエセラー(似非カウンセラー)を乱造することで、資格の発行元には金が舞い込んでくるビジネス形態です。
もちろん資格の発行だけではなく、年会費やセミナー開催などで会員には末永く出費させるようになっています。
ちょうど日本が次のWBCに参加するかどうかがニュースになっていますが、この資格問題と同じような歪さがあるように感じています。
WBCも野球の世界大会を行うことにより、もっと野球の普及に務めることが目的のはずです。
しかし実際にはメジャーリーグが不平等に利益の多くを取り、米国人のメジャーリーガーもあまり本気だという雰囲気がありません。
ようするに世界大会で盛り上げるというのは建前で、本音はメジャーリーグの小遣い稼ぎなんですね。
この資格問題にしても、記事やホームページを見るかぎりでは理念への忠実さよりもビジネスのニュアンスを強く感じます。
また教養として、いわゆるカウンセリングマインドが広がることは好ましいと思っていますし、私もそのような研修をすることがあります。
しかし教養を知ったからといって専門家ではありません。
知識が圧倒的に足りませんし、この資格で言えば経験は全く問われないのですから。
この団体は半年の通信教育で専門家を名乗れるほど、引きこもりの問題を甘く見ているのかとも言いたくなります。
ホームページには活動内容に「問題改善の為の支援・家族面談・カウンセリングを行う」とありますから、やはり教養や自己研磨のレベルを逸脱しています。
私としては、このくらいで資格を取った人たちが専門家を名乗って口を挟んでくるほうが、引きこもりの問題をこじらせるように思うのですが。
ホームページの出来といい、セミナーの案内といい、DVD販売といいい、マスコミ対策といい、ちょっとビジネス的な匂いが強いように感じてしまいます。
それが全てダメとは言いませんが、引きこもりを支援するのか、それとも引きこもりを利用したビジネスなのかは、関係者たちの理念次第なのでしょう。