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日本臨床心理士会から雑誌が届いているので、ちょっと感想を。
今回の64号では心理職の国家資格化についてA、B、Cの三つの案が載せられています。
それぞれ異なる立場、団体から出されている案ですが、その説明はややこしいので省略。
とりあえずA案が日本臨床心理士会のものです。
で、このA案が他との違いで目立つのは、経過措置として臨床心理士に受験資格を与えるとしている事です。
他の案での受験資格はこのようになっています。
①学部と大学院で心理学を専攻して修了している事
②学部を卒業して数年間の実務経験をしている事
これだけで何でダメかというと、臨床心理士には学部で心理学を専攻していない人が少なからずいるからです。
臨床心理士の指定大学院はどの学部を出ていたとしても受験できるため、学部で心理学を専攻していない人でも合格さえすれば入れます。
そうやって臨床心理士になった人だともう一度学部で勉強しなければ、新しい国家資格を受験できなくなるのです。
通信制もありますが3年に編入したとしても、そこから最低2年はかかります。
では単純に臨床心理士には受験資格を与えれば良いかというと、そこにも整合性が保てなくなる可能性が。
臨床心理士に受験資格を与えるなら、自分たちの資格にも与えろという団体が絶対に出てきます。
それがどんどん拡大していくと、せっかく新しい資格が出きても質の低下を招き、社会的な信頼を得られない状況になってしまいます。
私としてもどのへんが落とし所になるかな~と考えてしまいます。
●昔の司法試験のように、誰でも受験できる
私としては論外。
どんな試験になるにしても、試験だけでは心理的援助の能力を正確に調べる事はできません。
ですから質の保証をしていくためには、何らかの方法で受験資格を制限していく事は不可欠です。
カウンセラーの資格の中にはかなり安易に取れるものもありますから、何でもいいからカウンセラーの資格を持っていたら受験可能となれば、実質的には誰でも受験できるのと同じになります。
●実務経験だけで受験可能。
これも論外。
経験年数が長くても独善的にやっていただけかも知れないので、これも質の保証にはあまり役立ちません。
●心理の学部卒で数年間の実務経験
資格案の②に挙げたものです。
学部で単位を取っているという事はある程度の保証にはなります。
ただし実務経験のほうは上記した理由であまりアテになりません。
そのため臨床心理士会では実務経験に「心理職の有資格者の指導の下」という制限をつけていますが、当然必要な措置です。
また何を持って実務経験とするのかという問題もあります。
●修士修了だけで受験可能。
他学部から指定大学院に入学し、修了後にまだ臨床心理士を取っていない場合に当てはまります。
臨床心理士が高度な専門性を持つというのはこの修士での教育体制が根拠になっていますが、期間だけを見ると2年間に過ぎません。
「学部の4年間のほうが長いではないか」と言われた時に、質で相手を説得できるかどうかです。
●臨床心理士の資格を持っていれば受験可能。
ひとつ上と一部重なりますが、指定大学院での2年間が「心理の学部卒で数年間の実務経験」に匹敵するかどうかです。
臨床心理士の中には、学部では心理以外を専攻していた人もいます。
資格を取っても心理臨床に関係がない仕事をしている人もいます(つまり実務経験がない)。
そういう人にも区別なく受験資格を与えても大丈夫といえる、そういう指定大学院の2年間なのかが焦点です。
心理学専攻の学部卒が必ずしも十分質を確保できるだけの必要条件にならないと思ったのですが、心理学専攻の学部卒その知識量や学力面で平均的に一定水準を超えているんでしょうか?
というのも、自分が他学部卒で臨床心理士を目指しているので、そうしたご意見を聞くと不安になってしまいました。。。
大学も大学院も私が通ったところしか知らないので、平均などについて答える知識はないです。それに何を持って一定水準とするのかも分かりませんし。
ただ私が知っている他学部から大学院に来た人は、それで能力が低いということは全然思いませんでした。
もしかしたら見えないところで努力していたのかも知れませんが。
ともかくこれから臨床心理士を目指すのであれば、国家資格化の動向は注意していた方が良いと思います。
もし誰にでも臨床心理士の資格を与えていたら、全国民が臨床心理士になってしまいます(笑)
またどんな試験でも万能ではありませんので、そのため受験者に制限を加えるわけです。
医師になるには医学部を出ていなければなりませんし、弁護士になるには法科大学院を出ていなければならない(旧司法試験はいずれ廃止予定)のと同じです。
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先の返信と同じになります。
試験というものはそれほど万能なものではありません。
またあなたがそう思っていても、実際に他の医師や看護師、弁護士など多くの試験で受験資格に制限があります。