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問われる真偽 ホメオパシー療法

ちょうど昨日のニセ心理学にも関連するニュースがありました。
気が遠くなるほど薄めた「毒」を飲むことで病気を治す、という欧州生まれの代替医療ホメオパシーが「害のない自然な療法」と日本でも女性層を中心に人気が 高まりつつある。だが、この療法が公的医療の一角を占める英国は今年、議会委員会がその効果を全面否定、公的医療から外すよう政府に勧告した。日本でも裁 判が起こされるなど、その効果を巡ってホメオパシーは批判対象にもなってきている。


※元記事を見たい方はこちら。

ホメオパシーについては過去にもこのブログで取り上げました。
昨日も書いたとおり世の中には様々な情報がありますから、その真偽を検証する能力が必要になります。
そしてホメオパシーについては現状、プラセボ以上の効果はないというのが論文を厳密に検証して出された結果です。

個人が思想や信教の自由の範囲内で、自分だけでホメオパシーをしていくぶんには文句はありません。
そこまで制限するのなら、「おみくじが当たることを実証しないと置いてはいけない」とか、「お守りの効果が統計的に有意でなければ販売してはいけない」ということにもなりますから。

「鰯の頭も信心から」と言うように、そこまで合理的に生きれないのも人間というものです。

ただし、ホメオパシーは医療分野に直に関連し、その有効性が正確に伝えられないままに広がってしまっています。
そのことで不利益を被っている人も事実いるのですから、正しい情報を発信していかなければなりません。

私も代替療法の団体に身を置くものとして、何が有効で何が有効でないか、それを発信してく必要性を感じています。

やる夫で学ぶホメオパシー

ホメオパシーについて分かりやすいまとめサイトがありました。
遊び心のある作りですが、内容はいたって真面目です。

やる夫で学ぶホメオパシー1
やる夫で学ぶホメオパシー2
やる夫で学ぶホメオパシー3
やる夫で学ぶホメオパシー4

私としては先入観なく情報収集をしたくても、どうしても否定的な情報ばかりが増えてしまいます。
ということはやはり、これがホメオパシーの真実ということでしょうか。

でもこれらってちょっと調べればすぐに出てくる情報なんですよね。
それでもホメオパシーを実践している人はいるわけですし、情報リテラシーの重要性を痛感してしまいます。

あとホメオパシーと類似性が指摘されるものに、バッチフラワーというものもあります。
これも科学的根拠がないのに広がっている疑似医療行為のようです。

ビタミンK不投与で乳児死亡…母親が助産師提訴

痛ましい事件が起こっています。
山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」とい う錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。

※元記事を見たい方はこちら。

この錠剤はホメオパシーのことのようです。
これはある物質を水やアルコールで溶け込ませ、それをどんどん希釈していったものを砂糖玉に染み込ませたものです。
砂糖玉の大きさはほんの数ミリで、希釈は一般に100倍に薄めることを30回繰り返すため(もっと薄めることもある)、元の成分は1分子も入っていないことがあるそうです。

この時点で胡散臭く感じますが、作り方がどうであれ問題は効果があるかどうかです。。
しかしそれについても各国で様々な調査が行なわれているにも関わらず、きちんとした研究ではプラシーボ以上の効果は確認されていないようです。

私が以前読んだ『代替医療のトリック』でも上記と同様、ホメオパシーの効果には否定的に書かれていました。

私がまず知りたいのは、この助産師がどのような情報に基づいてホメオパシーを実践していたのかです。
少なくとも今回の事件に限って言えば、助産師が投与していた砂糖玉(レメディと呼ばれている)がビタミンKの代用となると判断した根拠が何かです。
もしそれが信用に足るものでなければ、この助産師は自分の誤った信念のために人を殺したことになります。

自分の責任の範囲内では思想の自由がありますが、医療行為は別次元の話です。
特にこの助産師の場合は砂糖玉しか与えていないにも関わらず、母子手帳にはビタミンKを与えたと記入しており、ホメオパシーの効果の問題とは違った悪質性も見受けられます。

ちなみに現代看護学の生みの親であるナイチンゲールは、ホメオパシーについてこのように述べています。
ホメオパチー療法は素人女性の素人療法に根本的な改善をもたらした。というのは、その用薬法はまことに良く出来ており、かつその投薬には比較的害が少ないからである。その「丸薬」は、どうしても善行を施して満足したい人たちが必要とする一粒の愚行なのであろう。というわけで、どうしても他人に薬を与えたい という女性には、ホメオパチーの薬を与えさせるとよい。さしたる害とはならないであろう。

ここに込められている皮肉が分かるでしょうか?
素人が安易に薬を与えて薬害を起こすよりは、毒にも薬にもならない(つまり効果がない)ホメオパシーを与えたほうがましだと言うのです。

このナイチンゲールの指摘は、効果がないということでは今に到るまで様々な研究結果が支持していると言えます。
しかし今回の事件のようにホメオパシーを盲信することは人の命を奪うことにもなりかねず、さしたる害がないとはとても言えないものです。

親になったばかりの私としては、このニュースはとても気持ちを逆撫でされるものでした。
また熊本代替療法研究会に所属している身としても、有意義な代替療法とそうでないものとを、正しく情報提供していくことが必要だと感じています。
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プロフィール

enju3946

Author:enju3946
 実学の視点からスピリチュアルを大切にしている臨床心理士。熊本市に在住ながら、仕事やドライブで熊本県を動きまわっています。これまでに児童養護施設、こども家庭支援センター、スクールカウンセラー、専門学校の非常勤講師、病院、若者サポートステーション、刑務所と、様々な職場で働いてきています。

 私にとって不毛な議論をするつもりはないので、スピリチュアルが苦手な方は価値観の一つとしてお読みください。
 私自身それを絶対化して人に強制するつもりはありません。

熊本代替療法研究会 会員

熊本県臨床心理士会 会員

心理系学会への入会は多数。

パソコン関係、カメラが趣味。

CLANNADは人生。

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