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心理職の国家資格化関連

心理職が国家資格になった場合、どのような受験資格が考えられるかを先日のブログで書きました。
それに関連して気になったブログ。

開業臨床心理士のコラージュ療法&雑学日記(2010-02-17のブログ)

この中で以下の事が書かれていました。
臨床心理職の国家資格が制定されることになったとしたら,大学卒業後実務経験数年以上になったとしても大学院修士課程修了になったとしても,大学学部は心 理学を専攻して卒業しておく必要が出てきそうだからです.
 受験資格に関する学歴問題は,柔軟対応を認めないのが過去の例です.


あくまで可能性の話ですが、杓子定規に考えれば確かに分かりやすい線引きではあります。
ただしこれに当てはまらない臨床心理士は少なくありませんから、そういう今まで臨床現場で貢献してきた人たちを切り捨てるというのは、心情的には納得できないものを感じます。

しかし医学部や薬学部の6年間と比較したら、大学院は2年間と3分の1にしか過ぎません。
心理職が専門性を訴えるのなら、経過措置だとしてもこの3分の1がどう判断されるかが分岐点でしょうか。
どちらにしろ、心理職の国家資格は高度な専門性が認められるものにしませんと。

心理職の資格法案化問題

日本臨床心理士会から雑誌が届いているので、ちょっと感想を。

今回の64号では心理職の国家資格化についてA、B、Cの三つの案が載せられています。
それぞれ異なる立場、団体から出されている案ですが、その説明はややこしいので省略。
とりあえずA案が日本臨床心理士会のものです。

で、このA案が他との違いで目立つのは、経過措置として臨床心理士に受験資格を与えるとしている事です。

他の案での受験資格はこのようになっています。
 ①学部と大学院で心理学を専攻して修了している事
 ②学部を卒業して数年間の実務経験をしている事

これだけで何でダメかというと、臨床心理士には学部で心理学を専攻していない人が少なからずいるからです。
臨床心理士の指定大学院はどの学部を出ていたとしても受験できるため、学部で心理学を専攻していない人でも合格さえすれば入れます。
そうやって臨床心理士になった人だともう一度学部で勉強しなければ、新しい国家資格を受験できなくなるのです。
通信制もありますが3年に編入したとしても、そこから最低2年はかかります。

では単純に臨床心理士には受験資格を与えれば良いかというと、そこにも整合性が保てなくなる可能性が。
臨床心理士に受験資格を与えるなら、自分たちの資格にも与えろという団体が絶対に出てきます。
それがどんどん拡大していくと、せっかく新しい資格が出きても質の低下を招き、社会的な信頼を得られない状況になってしまいます。

私としてもどのへんが落とし所になるかな~と考えてしまいます。

●昔の司法試験のように、誰でも受験できる
私としては論外。
どんな試験になるにしても、試験だけでは心理的援助の能力を正確に調べる事はできません。
ですから質の保証をしていくためには、何らかの方法で受験資格を制限していく事は不可欠です。
カウンセラーの資格の中にはかなり安易に取れるものもありますから、何でもいいからカウンセラーの資格を持っていたら受験可能となれば、実質的には誰でも受験できるのと同じになります。

●実務経験だけで受験可能。
これも論外。
経験年数が長くても独善的にやっていただけかも知れないので、これも質の保証にはあまり役立ちません。

●心理の学部卒で数年間の実務経験
資格案の②に挙げたものです。
学部で単位を取っているという事はある程度の保証にはなります。
ただし実務経験のほうは上記した理由であまりアテになりません。
そのため臨床心理士会では実務経験に「心理職の有資格者の指導の下」という制限をつけていますが、当然必要な措置です。
また何を持って実務経験とするのかという問題もあります。

●修士修了だけで受験可能。
他学部から指定大学院に入学し、修了後にまだ臨床心理士を取っていない場合に当てはまります。
臨床心理士が高度な専門性を持つというのはこの修士での教育体制が根拠になっていますが、期間だけを見ると2年間に過ぎません。
「学部の4年間のほうが長いではないか」と言われた時に、質で相手を説得できるかどうかです。

●臨床心理士の資格を持っていれば受験可能。
ひとつ上と一部重なりますが、指定大学院での2年間が「心理の学部卒で数年間の実務経験」に匹敵するかどうかです。
臨床心理士の中には、学部では心理以外を専攻していた人もいます。
資格を取っても心理臨床に関係がない仕事をしている人もいます(つまり実務経験がない)。
そういう人にも区別なく受験資格を与えても大丈夫といえる、そういう指定大学院の2年間なのかが焦点です。

週刊朝日の記事

2/2発売の「週刊朝日」に臨床心理士の紹介ページがありました。(画像をクリックすると拡大します。)
20090204_1.jpg

20090204_2.jpg

実際にはこの記事の下に大学の広告があったんだけどそれは省略。
この週刊朝日がどのくらい読まれているのか分かりませんが、こういうPR活動って大切なんでしょうね。

ただカウンセラーを探す時にはインターネットを使う事が多いだろうから、SEO対策にも力を入れて欲しいところです。

あと最後に書いてある文章で、
「『臨床心理士』という言葉は、ある程度、社会に定着してきましたが、まだ国家資格ではなく(以下略)」
とありましたが、臨床心理士がそのまま国家資格になるんでしたっけ?

どうもまだこの辺の情報が錯綜している気がします。

平成21年度 臨床心理士試験合格者数

愛知学院大学のサイトに今年度の合格者数が記載されていました。
(資格認定協会のサイトはまだ更新されていません。)

平成21年度 臨床心理士試験合格者数29名で中部地区第1位


今年の最終合格者は1,577名(合格率62.0%)だそうで。
昨年度までの累計が19,830名だから、これで臨床心理士も累計2万人越えですね。
失効や亡くなられた方もいるだろうけど、それでも2万人は越えているはず。

しかし上記のリンク先を見ると、他校の合格者数も分かっているみたいで。
これって内部資料?
弁護士の法科大学院なんかは学校別に合格者数を公表していたけど、臨床心理士はそういう事はしないのかな?
心理職の国家資格はずっと言われ続けているけど、自ら襟を正すって事でこういう情報公開もしていったほうが信頼が増すと思うんだけど。

周産期母子医療センターが新指針 産科以外の救急疾患に対応

目についたニュース。
厚生労働省は、出産前後のハイリスクな治療にあたる総合周産期母子医 療センターが、母体の脳血管障害など産科以外の救急疾患にも対応することなどを盛り込んだ新たな整備指針を策定し、27日までに都道府県に通知した。
(中略)
確保すべき職員として麻酔科医や臨床心理士、長期入院児を支援する コーディネーターを挙げた。


そういえば大学院の知り合いにも、周産期への心理ケアに興味がある人がいて、たしかそっちの方面で働いていたはず。

また勤務先で緩和ケアチームに入っていることから、最近はサイコオンコロジーやサイモントン療法など、医療分野での心理ケアを勉強し直しているところです。
探してみるとけっこう文献があります。

心理はQOLに多大な影響を与えますし、回復力にも影響があるとする文献もあります。
この分野を大切にしていくことが患者を一人の人間として尊重し、健全な生活ができるようにサポートし、長期的には莫大に膨れ上がっている国の医療費を抑える事にもなると思っています。
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プロフィール

enju3946

Author:enju3946
 実学の視点からスピリチュアルを大切にしている臨床心理士。熊本市に在住ながら、仕事やドライブで熊本県を動きまわっています。これまでに児童養護施設、こども家庭支援センター、スクールカウンセラー、専門学校の非常勤講師、病院、若者サポートステーション、刑務所と、様々な職場で働いてきています。

 私にとって不毛な議論をするつもりはないので、スピリチュアルが苦手な方は価値観の一つとしてお読みください。
 私自身それを絶対化して人に強制するつもりはありません。

熊本代替療法研究会 会員

熊本県臨床心理士会 会員

心理系学会への入会は多数。

パソコン関係、カメラが趣味。

CLANNADは人生。

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